27 12月 2011 @ 12:00 AM 
 

■07 決勝戦 Naoki(福岡)vsカーズ(大阪)

 

少年は願った。強くなりたい、と。

ある小さな街の小さな大会。
強くなりたい一心で戦い続けた少年はやがて、その街でも一目置かれる存在となった。
遠くから大会にやってくる決闘者が居れば、地元の人間は口を揃えてこう言う。
「あの子は、強いよ。」と。
決して無敗ではない。無敵ではない。
しかしそれでも強くなりたいと願うその熱い想いは、長い年月をかけて少年を強くした。
少年は勝ち上がる。更なる高みを目指すために。
少年は、負ける事を知る。己の欠点を洗い出すために。
勝負に対する飽くなき探究心が、彼を強くした。
その想いに呼応し、多くの仲間が彼を応援し、支え続けてきた。
街一番の強豪。街一番の強者。
小さな体に、とてつもなく大きな野心を抱いて、少年は強敵を次々と討ち取ってきた。
寡黙でも真っ直ぐな濁りの無い眼差しで相手を見据え、彼は最高の舞台へ足を運ぶ。

少年は願った。

強くなりたい、と。

Game:1

先攻を取ったNaokiの初手は次のようなものである。
・《エフェクト・ヴェーラー/Effect Veiler》×2枚
・《カオス・ソルジャー -開闢の使者-/Black Luster Soldier-Envoy of the beginning》
・《リビングデッドの呼び声/Call of the Haunted》×2枚
ここから《強欲で謙虚な壺/Pot of Duality》を発動し、《甲虫装機 ホーネット》を手札に加え、二枚の伏せカードを置いてターンを終える。

「甲虫装機」である事を把握したカーズはデッキを明かす事を控え、ドローゴー。
返すターン、Naokiはドローした《キラー・トマト/Mystic Tomato》で殴るのみで終了宣言。この《キラー・トマト/Mystic Tomato》が「甲虫装機」を呼び出すトリガーとして厄介で、下手に自滅させてもならない。《暗黒界の取引/Dark World Dealings》と《暗黒界の術師 スノウ/Snoww, Unlight of Dark World》によって、カーズは山札から少しずつ手駒を集めていこうとするが、同時にNaokiの《甲虫装機 ホーネット》を墓地へ置く事を許してしまう。《暗黒界の龍神 グラファ/Grapha, Dragon Lord of Dark World》を《キラー・トマト/Mystic Tomato》が自爆特攻してこないように守備表示で特殊召喚し、四枚の伏せカードを並べてカーズはNaokiの次の出方を見る事にした。

主に「甲虫装機」を意識して搭載されている《エフェクト・ヴェーラー/Effect Veiler》は、「暗黒界」相手に役に立つ機会が非常に少ない。そんな死に札を早い段階で複数握ってしまっているNaokiは、《リビングデッドの呼び声/Call of the Haunted》も合わせて《エフェクト・ヴェーラー/Effect Veiler》を二回行き来させてレベル6、《氷結界の龍 ブリューナク/Brionac,Dragon of the Ice Barrier》のシンクロ召喚まで繋いだ。
不可解なタイミングでのシンクロにカーズは疑問を覚えながら、ひとまず目の前の脅威は《奈落の落とし穴/Bottomless Trap Hole》で消し去る。
これがNaokiの狙いでもあった。
まずは、《ダーク・アームド・ドラゴン/Dark Armed Dragon》を降臨させる。闇属性最強の切り札を前に一瞬慄くカーズだったが、そこには《神の警告/Solemn Warning》。負けじと力強く、Naokiは《カオス・ソルジャー -開闢の使者-/Black Luster Soldier-Envoy of the beginning》を呼び出すも、ここにも《神の警告/Solemn Warning》。
Naokiはこのターンで切り札を悉く失ってしまった。

傍観する側からすれば、試合の流れはカーズに傾いていると考えても不思議ではなかった。
《暗黒界の狩人 ブラウ/Broww, Huntsman of Dark World》によって手札補充を続け、《クリッター/Sangan》《暗黒界の龍神 グラファ/Grapha, Dragon Lord of Dark World》でNaoki本体のライフポイントを半分以下に引きずり落とす。
次の一撃で勝てる。カーズは勝利を渇望していた。

しかし、覚えているだろうか。むなし(大阪)とマイクロン(熊本)のデュエル。その時、僅か1ターンではあったものの、その1ターンで逆転された試合を。

返す4ターン目、Naokiのドローは《死者蘇生/Monster Reborn》。
まずは《甲虫装機 ホーネット》を呼び出し、《甲虫装機 ホーネット》+《甲虫装機 ホーネット》という同名カード同士によってひとまず場の脅威を取り去ろうとするも、《マインドクラッシュ/Mind Crush》+《暗黒界の龍神 グラファ/Grapha, Dragon Lord of Dark World》によるインスタントタイミングで《甲虫装機 ホーネット》が撤去される。
Naokiはこのターンに引いた《死者蘇生/Monster Reborn》で《キラー・トマト/Mystic Tomato》を戻し、次なる「甲虫装機」へ繋げようとするも、そこには《激流葬/Torrential Tribute》。《クリッター/Sangan》の能力で手に入れた《暗黒界の狩人 ブラウ/Broww, Huntsman of Dark World》を《暗黒界の龍神 グラファ/Grapha, Dragon Lord of Dark World》に変換したカーズは、Naokiのライフを更に追い詰める。

Naokiの最後のドロー、それは…《甲虫装機 ダンセル》!
1ターンの猶予は、今期のトップメタにとっては充分過ぎる時間。
カーズは苦い顔を浮かべ、サイドデッキに手を伸ばすのであった。

  Naoki 1-0 カーズ

カーズ 先攻サイドチェンジ
In
《サイクロン/Mystical Space Typhoon》×3枚
《禁じられた聖杯/Forbidden Chalice》×2枚
《大嵐/Heavy Storm》

Out
《闇の誘惑/Allure of Darkness》
《おろかな埋葬/Foolish Burial》
《暗黒界の尖兵 ベージ/Beiige,Vanguard of Dark World》
《暗黒界の取引/Dark World Dealings》
《メタモルポット/Morphing Jar》
《魔轟神レイヴン/Fabled Raven》

一枚挿しのカードを殆ど引き抜き、相手の罠対策へと変換する。
例えば墓地から登場する《暗黒界の龍神 グラファ/Grapha, Dragon Lord of Dark World》のように、場以外の領域から展開していく事が出来るのも「暗黒界」の強み。「甲虫装機」によって盤面を荒らされても巻き返す事が可能ではあるが、問題はその後のこちらの展開が阻害されてしまう事にある。「甲虫装機」による破壊は免れ延命は出来た、しかし、相手の罠が突破できない。そうなってしまえばデュエルに勝利する事そのものが困難を極める。それを意識して、カーズは妨害対策を大量に投じた。
「甲虫装機」とは闇属性という一点で特徴を同じにする「暗黒界」だからこそ、《暗闇を吸い込むマジック・ミラー/Shadow-Imprisoning Mirror》や《マクロコスモス/Macro Cosmos》のような致命的な対策が投じられる事はない。ならば、あとは自らの勝ち筋を実現していけるよう妨害を崩すのみである。

Naoki サイドチェンジ
In
《サイクロン/Mystical Space Typhoon》×3枚
《奈落の落とし穴/Bottomless Trap Hole》×2枚
《王宮のお触れ/Royal Decree》×3枚
《聖なるバリア-ミラーフォース-/Mirror Force》
《サイバー・ドラゴン/Cyber Dragon》

Out
《エフェクト・ヴェーラー/Effect Veiler》×3枚
《ライオウ/Thunder King Rai-Oh》×3枚
《神の警告/Solemn Warning》×2枚
《ダスト・シュート/Trap Dustshoot》
《カオス・ソルジャー -開闢の使者-/Black Luster Soldier-Envoy of the beginning》

事実、Naokiは《奈落の落とし穴/Bottomless Trap Hole》や《聖なるバリア-ミラーフォース-/Mirror Force》といった、強力な高打点を強いる「暗黒界」に効果的な罠をサイドから投入している。同特徴を持つデッキだからこそ致命的な対策は投じられないという読みは正しい、それでは実際に同特徴を持つデッキがどういった手段で二戦目に臨むかと言うと前者のカーズと同じく、妨害対策=自らの勝ち筋の忠実な実現、があてはまる。
Naokiもまた《サイクロン/Mystical Space Typhoon》《王宮のお触れ/Royal Decree》という罠対策を投じて二戦目の準備を行う。

Game:2

先攻を得たカーズのファーストアクションは、《強欲で謙虚な壺/Pot of Duality》で《サイクロン/Mystical Space Typhoon》を拾い二枚の伏せカードを置くという内容。一方でNaokiは慎重に二枚の罠を伏せた所で《ダスト・シュート/Trap Dustshoot》の被害を被る。
公開されたNaokiの手札は、以下の通りである。
・《甲虫装機 ギガマンティス》
・《甲虫装機 センチピード》
・《終末の騎士/Armageddon Knight》
・《強欲で謙虚な壺/Pot of Duality》
この中から《終末の騎士/Armageddon Knight》が山札に沈められるも、Naokiは次に繋がる動きを期待して《強欲で謙虚な壺/Pot of Duality》を発動する。捲れたのは《強欲で謙虚な壺/Pot of Duality》《デモンズ・チェーン/Fiendish Chain》《甲虫装機 ダンセル》。隠れた《甲虫装機 ホーネット》を拾いに、《強欲で謙虚な壺/Pot of Duality》を選んでターンを延長する。
Naokiが伏せたカードは《奈落の落とし穴/Bottomless Trap Hole》《聖なるバリア-ミラーフォース-/Mirror Force》と、いずれもサイドから引っ張った罠でありこれらがカーズに把握されていない分、Naokiにはまだ分がある。《甲虫装機 ギガマンティス》を装備し攻撃力が2400となった《甲虫装機 センチピード》で戦闘を仕掛け、敢えて《強欲で謙虚な壺/Pot of Duality》を場に伏せる。

カーズは壁を用意するのみでターンを終え、メインフェイズに入るまでにNaokiが場に置いた《強欲で謙虚な壺/Pot of Duality》を《サイクロン/Mystical Space Typhoon》で射抜き後続を止めようとするが、Naokiはタイミング良く《強欲で謙虚な壺/Pot of Duality》を引いており、これを山札の《神の宣告/Solemn Judgment》に変更した。
攻撃が来なかったことを機に、カーズは《暗黒界の狩人 ブラウ/Broww, Huntsman of Dark World》を通常召喚と反転召喚とによって場に2体並べて《No.17 リバイス・ドラゴン/Number17:Leviathan Dragon》をエクシーズ召喚。
《聖なるバリア-ミラーフォース-/Mirror Force》と《奈落の落とし穴/Bottomless Trap Hole》を持つNaokiは至って冷静で、呼吸一つ乱さない。《No.17 リバイス・ドラゴン/Number17:Leviathan Dragon》を《聖なるバリア-ミラーフォース-/Mirror Force》で打ち落とす事に成功するも、カーズは《サイクロン/Mystical Space Typhoon》でNaokiの《神の宣告/Solemn Judgment》を叩き割る。
《暗黒界の門/The Gates of Dark World》を確実に通せるようになったカーズは《暗黒界の龍神 グラファ/Grapha, Dragon Lord of Dark World》の能力で《奈落の落とし穴/Bottomless Trap Hole》を割り、盤面をコントロールする。

しかし、Naokiは遂に《甲虫装機 ホーネット》に辿り着く。
《甲虫装機 ホーネット》で《甲虫装機 センチピード》を回収した後、予め引いていた《おろかな埋葬/Foolish Burial》を発動。山札から、アドバンテージの怪物《BF-精鋭のゼピュロス/Blackwing-Zephyros the Elite》を墓地に眠らせ、装備カードとなった《甲虫装機 センチピード》を戻して《BF-精鋭のゼピュロス/Blackwing-Zephyros the Elite》を特殊召喚する。
これにより、次ターンからホーネット・コントロールが成立する。
しかし、カーズも黙って見ている訳にはいかない。《暗黒界の龍神 グラファ/Grapha, Dragon Lord of Dark World》で《BF-精鋭のゼピュロス/Blackwing-Zephyros the Elite》を破壊しながら、《墓穴の道連れ/Dragged Down into the Grave》で手札に戻った《甲虫装機 センチピード》を奪う。

5ターン目、《甲虫装機 ダンセル》《甲虫装機 ホーネット》という手札のNaokiは《甲虫装機 ホーネット》によって墓地の《甲虫装機 ホーネット》を戻して能力を起動、《神の警告/Solemn Warning》を取り去った後、更に手札の《甲虫装機 ダンセル》には《月の書/Book of Moon》を投げて回避する。返すターン、《暗黒界の龍神 グラファ/Grapha, Dragon Lord of Dark World》を戻して《甲虫装機 ダンセル》を倒し、相手の勝ち筋を悉く潰して可能性を感じたカーズ。
しかし、山札より舞い降りた《甲虫装機 センチピード》を止める術は存在しなかった。

  Naoki 2-0 カーズ
  Result:Naoki Win!

日本各地を転戦してきたカーズと、福岡に土着しその力を蓄えてきたNaoki。
九州と、九州圏外のプレイヤーとが相見えるこの決勝戦の対決は、『Tetsu Champion Ship』参加者全体を反映しながらも理想的な決勝戦でもあった。

『Tetsu Champion Ship』は福岡県で開催される大会。
それを制覇した選手が福岡県の決闘者ともなれば、観客そして運営スタッフの感慨も一入である。

「━━━━喜べ少年。君の願いはようやく叶う。」

強くなりたい。
街の片隅で抱かれていた少年の小さな夢は、今この瞬間、誰もが認める現実となった。

おめでとう、Naoki!










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Tags Categories: Broken Activation, Special Posted By: Tetsu
Last Edit: 29 12月 2011 @ 06 54 PM

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